初心者歓迎　　　　　　　　　　　　　　

「釣りを教えてくれませんか。なにから勉強したらいいかな」とＡ氏。

「釣りがお好きなの？」

「さぁ、やってみなければわかりません」

「あっそう、Ａさん、即席ラーメン自分で作りますか」

「ハイ、作ります」

「じゃあ稽古(けいこ)しましょう。ラーメンを強火でバァ〜とゆがいて、吹きこぼれる寸前に鍋ブタをパッと取ってください。頃合いの見定めと瞬間のフタ取りが魚釣りの気合そっくりですわ」

Ａさん変な顔だ。こりゃいかん。あわてて言いなおした。

「まずとびきり上等の釣り竿を一本買いましょう。気合が入ります。高価な竿がもったいなくて、釣をせぬわけにはいかなくなる」

やはりＡさん変な顔。

なにが難しいといって、釣り場を離れて釣りを伝授するほど難しいことはない。むきになっていろいろ話したがダメだった。酒席でのことである。口が滑った。

「手っとり早くサイフ持って魚屋へ行きますか。万札だせばお釣りも釣れる」

Ａさんやっと納得顔。

「そうでしょう、そうでしょう」

ヤヤッ！私の日頃の大釣り自慢がＡ氏の脳中で魚屋とドッキングか。

「勘違いは嫌だよ、Ａさんは魚屋へ行けばいいじゃない。でも僕は海へ行きますよ。魚屋じゃなくて海から魚を釣りますよ。やだな、変に気をまわさないでよ」　　　　　

思いついたら川でも海辺でも出かてみよう。きっとだれかが釣っている。絶対にまねて釣りたくなる。秋色徐々に深く、釣り絶好期の到来だ。河口はハゼ釣りの真っ盛り。

マハゼ、愛らしいドングリ目の小魚。てんぷら種に最高。初心者・家族連れ大歓迎。